COLUMN コラム

ホワイト物流とは?背景や目的、企業が取り組むメリットと具体的な方法を解説

2026.03.10

ホワイト物流

物流業界では、トラックドライバーの深刻な人手不足や長時間労働が社会問題となっています。2024年4月からは時間外労働の上限規制が適用され、このままでは物流機能の維持が困難になりかねません。こうした課題を解決するために、国が推進しているのが「ホワイト物流」です。

ホワイト物流は、トラック輸送の生産性向上と働きやすい労働環境の実現を目指す取り組みで、物流事業者だけでなく荷主企業や納品先企業の協力が不可欠となります。

本記事では、ホワイト物流の基本的な概念から注目される背景、企業が取り組むメリット、具体的な実践方法、そして推進運動への参加方法まで体系的に解説します。自社の物流改善を検討する際の参考にしてください。

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ホワイト物流とは

ホワイト物流とは、国土交通省・経済産業省・農林水産省が連携して推進している「ホワイト物流」推進運動の略称です。深刻化するトラックドライバー不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保することを目的としています。

この運動が掲げる主な柱は「トラック輸送の生産性向上・物流の効率化」と「女性や60代以上の運転者等も働きやすい、より『ホワイト』な労働環境の実現」の2点です。従来のグレーないしはブラックな働き方が残る物流現場を改善し、持続可能な物流体制を構築することを目指しています。

ホワイト物流推進運動への賛同企業数は年々増加しており、2025年3月時点で3,140社に達しています。物流事業者だけでなく、製造業や卸売業、小売業など幅広い業種の企業が参加しており、サプライチェーン全体での取り組みが広がっているのが特徴です。

ホワイト物流が注目される背景

ホワイト物流が注目を集めている背景には、物流業界が抱える複合的な課題があります。ドライバー不足や高齢化、長時間労働といった構造的な問題に加え、2024年問題による労働時間規制の影響も深刻です。

これらの課題を放置すれば、物流機能の縮小や輸送コストの上昇、最終的には消費者が受けられるサービスの低下につながりかねません。ここでは、ホワイト物流が求められる4つの背景を解説します。

・トラックドライバーの深刻な人手不足

・ドライバーの高齢化と若年層の参入減少

・長時間労働と荷待ち時間の問題

・2024年問題と労働時間規制への対応

トラックドライバーの深刻な人手不足

トラックドライバーの人手不足は年々深刻化しています。道路貨物運送業の有効求人倍率は全職業平均の約2倍に達しており、人材確保が困難な状況が続いています。

さらに、このまま対策を講じなければ、2028年には約27.8万人のドライバーが不足するという予測もあります。物流機能の維持に深刻な影響を及ぼす可能性があり、早急な対応が求められています。(出典:「ホワイト物流」推進運動ポータルサイト

こうした状況を受け、物流事業者だけでなく荷主企業も含めた業界全体での取り組みが不可欠となっています。

ドライバーの高齢化と若年層の参入減少

トラックドライバーの高齢化も深刻な課題の一つです。中小型トラック運転者の平均年齢は45.8歳、大型トラック運転者は47.8歳であり、全産業平均の42.5歳と比較して高齢化が進んでいます。

また、29歳以下の若年層の割合が10%未満にとどまっており、世代交代が進んでいない現状が浮き彫りになっています。今後、中高年層のドライバーが定年を迎えると、さらなる人材不足が加速する恐れがあります。(出典:「ホワイト物流」推進運動ポータルサイト

若年層や女性が働きやすい環境を整備することで、新たな人材の参入を促すことが急務となっています。

長時間労働と荷待ち時間の問題

トラックドライバーの労働時間は、全職業平均と比較して約2割も長いという統計があります。この長時間労働の要因の一つが、荷主企業の都合で発生する「荷待ち時間」の存在です。

荷待ち時間の平均は1時間34分にも及び、中には3時間以上待たされるケースも報告されています。この待ち時間はドライバーの拘束時間に含まれるため、実質的な運転業務に充てられる時間が圧縮されてしまいます。(出典:「ホワイト物流」推進運動について

荷待ち時間の削減は、ドライバーの労働環境改善と輸送効率向上の両面で重要な課題といえます。

2024年問題と労働時間規制への対応

2024年4月から、自動車運転業務にも働き方改革関連法に基づく時間外労働の上限規制(年960時間)が適用されました。これまで猶予されていた規制が本格的に始まったことで、物流業界は大きな転換点を迎えています。

この規制により、ドライバー1人あたりの稼働時間が制限されるため、従来と同じ輸送量を維持することが困難になる「2024年問題」が発生しています。輸送能力の低下を防ぐためには、荷主企業と物流事業者が連携して業務効率化を進めることが急務です。

違反した場合は刑事罰の対象となるため、法令遵守の観点からも対応が求められています。

ホワイト物流に取り組むメリット

ホワイト物流への取り組みは、物流事業者だけでなく荷主企業にとっても多くのメリットをもたらします。業務効率の向上から人材確保、企業価値の向上まで、経営上のさまざまな効果が期待できます。

とくに、持続可能な物流体制を構築することは、自社の事業継続性を高める重要な経営戦略となります。ここでは、企業がホワイト物流に取り組む4つのメリットを紹介します。

・物流の生産性向上と効率化

・ドライバーの労働環境改善と人材確保

・企業イメージ・ブランド価値の向上

・SDGsへの貢献とCO2排出量削減

物流の生産性向上と効率化

ホワイト物流の取り組みを進める過程では、従来の業務プロセスや商慣行を見直すことになります。荷待ち時間の削減やパレット化の推進、予約受付システムの導入など、さまざまな施策を実施することで、物流全体の生産性が向上します。

業務の効率化は、同じ人員でより多くの出荷をこなせるようになることを意味し、結果として物流コストの削減にもつながります。限られたリソースで最大の成果を生み出す体制づくりが可能です。

また、デジタル技術を活用した業務改善は、作業の標準化やミスの削減にも効果を発揮します。

ドライバーの労働環境改善と人材確保

適正な労働時間と賃金の設定、休息時間の確保は、ドライバーのストレス軽減と働きがいの向上につながります。良好な労働環境を整備することで、既存スタッフの離職率を下げ、長期的に働き続ける意欲を高められます。

さらに、「ホワイト」な職場環境をアピールすることで、他業界からの転職者や女性ドライバーの採用にも好影響をもたらします。人手不足が深刻な物流業界において、人材確保は競争力の源泉となります。

経験豊富な人材を確保し続けることは、育成コストの削減にもつながる重要な経営課題です。

企業イメージ・ブランド価値の向上

ホワイト物流への積極的な取り組みは、企業の社会的評価やブランドイメージの向上に直結します。労働環境改善や輸送の効率化に努める姿勢は、企業の社会的責任(CSR)やESG経営の観点からも高く評価されます。

ホワイト物流推進運動のポータルサイトには賛同企業リストが公開されており、参加を表明すること自体が社会課題の解決に貢献する企業としてのアピールにつながります。取引先や顧客からの信頼獲得にも効果的です。

こうした取り組みは、投資家からの評価向上やサステナビリティを重視する顧客の獲得にも寄与する可能性があります。

SDGsへの貢献とCO2排出量削減

物流の効率化は、環境負荷の低減にも大きく貢献します。輸送ルートの最適化や共同配送の推進により、走行距離を削減することで二酸化炭素排出量を抑えられます。

運輸部門の二酸化炭素排出量は全体の約18.5%を占めており、物流改善による削減効果は地球温暖化対策として大きな意義をもちます。SDGsの目標達成にも直結する取り組みといえるでしょう。

環境への配慮を示すことは、企業価値の向上だけでなく、次世代に持続可能な社会を残すための責任ある行動です。

ホワイト物流を実現するための具体的な取り組み

ホワイト物流を実現するためには、荷主企業と物流事業者が協力して具体的な施策を実行することが重要です。荷待ち時間の削減やパレット化の推進、デジタル技術の活用など、さまざまなアプローチが考えられます。

いずれの施策も、関係者間の合意形成と継続的な改善が成功の鍵となります。ここでは、企業が実践できる代表的な取り組みを4つ紹介します。

・荷待ち時間の削減

・パレット化による荷役作業の効率化

・予約受付システムの導入

・WMS(倉庫管理システム)によるデジタル化

荷待ち時間の削減

荷待ち時間の削減は、ドライバーの拘束時間短縮と輸送効率向上の両面で効果を発揮します。納品先企業と協力して到着時刻を調整したり、混雑する時間帯を避けた配送スケジュールを組んだりすることで、待機時間を大幅に減らせます。

荷主企業側では、入出荷作業の効率化や人員配置の見直し、バース(荷卸し場所)の増設なども有効な対策となります。関係者間でのコミュニケーションを密にし、課題を共有することが改善の第一歩です。

また、荷待ち時間を可視化し、改善効果を測定することで、継続的なPDCAサイクルを回すことが可能になります。

パレット化による荷役作業の効率化

パレット化とは、荷物をパレット(荷台)に積載した状態でフォークリフトを使って荷役をおこなう方法です。手作業での積み下ろしと比較して、作業時間を大幅に短縮できるうえ、ドライバーの身体的負担も軽減できます。

実際の改善事例として、10トン車へのレタス1,200ケースの積み下ろし作業が、手積みでは2〜3時間かかっていたものが、パレット化により20〜30分に短縮されたケースがあります。

パレット化を推進するには、荷主企業と物流事業者、納品先企業が協力して、パレットの費用負担や保管・返却方法について合意形成を図る必要があります。

予約受付システムの導入

予約受付システム(バース予約システム)は、トラックの到着時刻を事前に予約し、荷卸し場所や時間を効率的に割り当てる仕組みです。導入することで、トラックの到着が分散され、荷待ち時間を大幅に削減できます。

システム上で予約状況をリアルタイムに把握できるため、ドライバーは到着時刻を調整しやすくなり、無駄な待機を避けられます。荷主企業側も作業計画を立てやすくなり、人員配置の最適化につながります。

近年では、クラウド型の予約システムが普及しており、比較的低コストで導入できるようになっています。

WMS(倉庫管理システム)によるデジタル化

WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)は、倉庫内の入出荷・在庫管理・ピッキングなどの業務をデジタル化し、効率化するシステムです。バーコードやRFIDを活用した在庫管理により、作業の正確性が向上し、ヒューマンエラーを削減できます。

WMSを導入することで、リアルタイムの在庫把握や出荷準備の効率化が可能になり、ドライバーの待機時間削減にも貢献します。また、データに基づいた業務改善のPDCAサイクルを回せる点も大きなメリットです。

物流DXを推進するうえで、WMSは中核となるシステムといえます。自社の課題に合ったシステムを選定し、段階的に機能を拡張していくアプローチが効果的です。

WMSのさらに先——倉庫全体の自動化でホワイト物流を加速するCOOOLa WES

WMSの導入でデジタル化の第一歩を踏み出した後、「ドライバーの荷待ちをゼロに近づけたい」「出荷作業そのものをもっと速くしたい」と考える担当者は少なくありません。その次のステップとして有効なのが、倉庫内の自動化設備と人のタスクを統合管理するWES(倉庫運用管理システム)の導入です。

ブライセンの「COOOLa WES」は、コンベアやAGV、自動倉庫といったマテハン機器をメーカー問わず一元制御し、設備の稼働状況に応じて作業者のタスクをリアルタイムで最適配分します。出荷準備のスピードが上がれば、ドライバーの待ち時間は自然と短くなります。「荷待ち時間の削減」というホワイト物流の核心課題に、倉庫側から直接アプローチできます。

AIを活用した継続的な現場改善と、製造・物流双方の知見を持つ専任チームによる伴走支援が、ブライセンの強みです。「まず何から始めればいいか」という段階からご相談ください。

ホワイト物流推進運動への参加方法

ホワイト物流推進運動への参加は、「自主行動宣言」を提出することでおこないます。自主行動宣言とは、運動の趣旨に賛同し、自社として具体的な取り組みを進めることを表明する文書のことです。

賛同企業数は着実に増加しており、2025年3月時点で3,140社に達しており、物流事業者だけでなく、荷主企業や納品先企業の積極的な参加が期待されています。

参加手順は以下の通りです。

まず、運動の趣旨を理解し、必須項目3点(取組方針、法令遵守への配慮、契約内容の明確化・遵守)への賛同を表明します。次に、自社でさらに取り組む項目を推奨項目リストから選定し、自主行動宣言を作成します。最後に、ホワイト物流推進運動ポータルサイトのフォームから自主行動宣言を提出すれば完了です。提出された宣言は賛同企業リストに掲載され、公表されます。

まとめ

ホワイト物流は、トラックドライバーの深刻な人手不足や長時間労働、2024年問題といった課題を解決するために、国が推進している取り組みです。トラック輸送の生産性向上と、より働きやすい労働環境の実現を目指し、物流事業者だけでなく荷主企業や納品先企業の協力が不可欠となっています。

ホワイト物流に取り組むことで、物流効率の向上やコスト削減、人材確保、企業イメージの向上、さらにはSDGsへの貢献といった多くのメリットが期待できます。具体的な施策としては、荷待ち時間の削減、パレット化の推進、予約受付システムの導入、WMSによるデジタル化などが挙げられます。

ホワイト物流推進運動への参加は自主行動宣言の提出によっておこなえます。持続可能な物流体制の構築に向けて、まずは自社でできる取り組みから始めてみましょう。

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