シャトル式自動倉庫とは、棚の各段を走るシャトルと、ケースを上下に運ぶリフターを組み合わせた設備です。1つの通路をクレーンが往復する方式と違い、複数のシャトルが同時に動くため、出庫の処理能力を高めやすくなります。
ただし、シャトルを増やせばそのまま能力が上がるわけではありません。ラックの外に出たケースが1本のコンベアへ集まると、そこで流れが詰まってしまいます。
本記事では、シャトル式自動倉庫の仕組みとメリット・デメリット、コンベアの渋滞を避ける設計の考え方までを解説します。倉庫の自動化を検討する材料としてお使いください。
目次
シャトル式自動倉庫とは
シャトル式自動倉庫は、荷物を保管する棚であるラックと、その中を走るシャトル、ケースを上下に運ぶリフターで構成される設備です。ラックは段ごとに区切られており、シャトルと呼ばれる小型の車両が各段を水平方向に走ってケースを運びます。シャトルが運んだケースは、ラックの端にあるリフターが受け取って上下へ移動させます。
通路のあいだをクレーン1台が往復する方式に対し、シャトル式は段の数だけ並行して作業を進められる点が構造上の違いです。そのぶん出庫の処理能力を高めやすく、多品種の商品を短時間で大量に出す現場で使われています。
保管したケースを指定した順番どおりに出せる点も特徴です。店舗別や配送ルート別に並べ替えて出庫できるため、仕分けの工程をラックの中へ取り込めます。
シャトル式自動倉庫が向いているのは、多品種の商品を1日に何度も出荷する現場です。実際に、EC物流の拠点や店舗向けの配送センター、生産ラインへ部品を供給する工場などで導入されています。
自動倉庫にどのような方式があるかについては、ケース自動倉庫を扱った記事でも解説しています。
シャトル式自動倉庫のメリット
シャトル式自動倉庫は、処理能力と稼働の安定性の両面においてメリットがあります。ここでは3つに整理しました。
- 出庫の処理能力を高められる
- 1台が故障しても稼働を続けられる
- 消費電力を抑えやすい
出庫の処理能力を高められる
シャトル式自動倉庫のメリットは、出庫の処理能力を高められる点です。格段のシャトルが同時に動き、注文が集中する時間帯でも処理を分散して同時並行で進められます。
出庫の処理能力は、シャトル式のもっとも大きな利点です。各段のシャトルが同時に動くため、注文が集中する時間帯でも処理を分散できます。
店舗別や配送ルート別に並べ替えて出す順立て出庫にも対応できるため、ラックから出た後の仕分け工程を減らせます。
ピッキングでは、必要なケースが作業者の手元へ届くGTPの仕組みとも組み合わせが可能です。仕組みの詳細は、GTPとは?物流倉庫の省人化を実現する自動棚搬送ロボットの仕組みと導入効果をご覧ください。
1台が故障しても稼働を続けられる
シャトル式では、構成によっては、シャトル1台が停止しても他のシャトルで運転を継続できます。故障したシャトルがいる段だけを切り離し、残りの段で運転を継続できるためです。
通路ごとに1台のクレーンが担当する方式では、その1台が止まると通路全体の在庫を取り出せなくなります。大規模な倉庫になる程出庫が止まったときの損失は大きくなるので、シャトル式自動倉庫の恩恵は大きくなります。
消費電力を抑えやすい
消費電力を抑えやすい点も、シャトル式の特徴です。重量のあるクレーンを上下に動かすのではなく、軽いシャトルを水平に走らせる構造だからです。
リフターが上下動を担うぶん、1回の出庫にかかるエネルギーは小さく収まり、運用コストも抑えられるでしょう。メーカーが公表する削減率は比較の前提が異なるため、自社の稼働条件で試算してもらいましょう。
シャトル式自動倉庫のデメリット
シャトル式自動倉庫のデメリットも理解したうえで、導入の判断をしましょう。ここからは費用や設備面での制約について解説します。
- 費用が高くなりやすい
- 外周のコンベアが渋滞しやすい
- レイアウトの変更がしにくい
費用が高くなりやすい
シャトル式自動倉庫の費用は、他の方式より高くなりやすい傾向があります。シャトルとリフターの台数が増えるほど機器の数が積み上がり、保守の対象も広がるためです。
大規模な構成では数億円規模になることもあり、稼働後の保守費用も台数に応じて増えます。まず必要な処理能力を数値で出し、その能力を満たす最小の構成から見積もりを取ると、費用の妥当性を判断しやすくなります。
外周のコンベアが渋滞しやすい
シャトル式自動倉庫では、ラックの外にあるコンベアが渋滞しやすくなります。各段のシャトルが同時に出したケースが、最終的に1本の搬送ラインへ集まるからです。
つまりラックの中をいくら速くしても、通路をつなぐ合流部で流れが詰まれば、システム全体の能力はそこで頭打ちになります。通路の数が多い大規模な構成ほど、外周に必要なコンベアは長く複雑になり、設置面積と制御の負担も増えるのが課題です。
レイアウトの変更がしにくい
レイアウトの変更がしにくい点も、シャトル式の制約です。ラックとリフター、外周のコンベアが一体で設計されるため、後から配置を変えるには広い範囲の工事が必要になります。
取り扱う商品や物量が数年で大きく変わる見込みなら、増設できる範囲を契約前に確認しておきましょう。モジュール単位で段や通路を足せる構成なら、変更の余地は残せます。ラックだけを増やせても外周のコンベアを移設できなければ意味がないため、周辺設備まで含めて確認しておくと安心です。
シャトル式自動倉庫でコンベアの渋滞を避ける設計の考え方
シャトル式自動倉庫の課題である外周のコンベアの渋滞は、設計面で対策できます。ここからは3つの考え方を紹介します。
- 通路をまたいで移動できる方式を選ぶ
- 出庫の集中を平準化する
- WESで設備全体の流れを制御する
通路をまたいで移動できる方式を選ぶ
シャトル式自動倉庫の渋滞を根本的に解決するには、通路を跨いで移動できる方式を検討しましょう。ラックの外へケースを出さず隣の通路へ受け渡せる構造なら、外周のコンベアを通る回数そのものを減らせます。
具体的には必要な商品をあらかじめ1つの通路へ集約するのがおすすめです。こうすれば、出庫のたびに通路を跨ぐ搬送が発生せず、渋滞を抑えられます。
出庫の集中を平準化する
出庫の集中を平準化する運用も有効です。同じ時間帯に処理が集まるほど、合流部での待ちは長くなります。
出荷の締め時間が複数あるなら、方面別に処理を前倒しして山を分散させる組み方も検討しましょう。たとえば、遠方向けの出荷を午前中に処理しておけば、締め時間が集中する夕方の負荷を下げられます。あわせて、出庫頻度の高い商品をリフターに近い位置へ配置すると、搬送の距離も短くなります。設備を増やす前に、運用で吸収できる範囲についても検討しておきましょう。
WESで設備全体の流れを制御する
シャトル式自動倉庫の設備全体の流れを、上位システムで制御しましょう。自動倉庫だけでなくコンベアや仕分け機、作業者への指示を別で管理すると、渋滞している箇所を特定できません。
弊社が提供するCOOOLa WESは、メーカーの異なる設備を一元的に制御し、倉庫全体の状況を見ながら作業を配分できます。どの工程で滞留が起きているかを把握できれば、設備の増設に踏み切る前に作業を配分できます。
システムごとの役割分担は、WCSとは?倉庫制御システムの役割とWMS・WESとの違いをわかりやすく解説もあわせてご覧ください。
シャトル式自動倉庫の導入を検討するときの確認事項
シャトル式自動倉庫は投資額が大きいため、導入前に数値で条件を固めておきましょう。確認しておきたいのは次の2点です。
- 出荷のピークを数値で把握する
- 将来の物量変化に対応できるか確認する
出荷のピークを数値で把握する
シャトル式自動倉庫の導入前に、出荷のピークを数値で把握しましょう。シャトル式の構成は1時間あたりに処理すべきケース数から逆算するのが一般的です。
その際、平均値ではなく繁忙期のもっとも忙しい1時間を基準におくと、ピーク時の処理が追いつかない事態を避けられます。過去1年分の出荷実績から時間帯別の数値を割り出しておくと、見積もりの精度も上がります。
将来の物量変化に対応できるか確認する
将来の物量変化に対応できるかも、契約前に確認しておきましょう。シャトル式は後から配置を変えにくいため、増設の余地がないと数年で能力が足りなくなるおそれがあります。
シャトルやリフター、段を後から追加できるか、その場合に稼働を止める必要があるかを確認してください。取扱商品の入れ替えでケースの寸法が変わる可能性もあるため、対応できる荷姿の幅もあわせて聞いておきましょう。
まとめ
シャトル式自動倉庫は、ラックの各段を走るシャトルとリフターを組み合わせ、ケースを高速で出し入れする設備です。段ごとに並行して処理できるため出庫の能力を高めやすく構成によっては、シャトル1台が停止しても他のシャトルで運転を継続できます。
一方で、費用は他の方式より高くなりやすい設備です。ラックの外にあるコンベアが能力の上限になる点にも注意が必要なため、通路をまたいで移動できる方式を選ぶ、出庫の集中を平準化するといった対策を設計の段階から組み込んでおきましょう。
弊社では、出荷のピークや既存設備の構成を伺ったうえで、COOOLa WESによる設備と作業の統合をご提案します。自動倉庫の能力を最後まで使い切るには、ラックの中だけでなく倉庫全体の流れを見る視点が必要です。
自動倉庫の導入前のご相談、WES導入についてのご相談をぜひお寄せください。







